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事業譲渡例61|地域密着個別指導塾 講師不足を乗り越えた事業譲渡

2025年4月11日
譲渡例(今までのケース)


セカチャレは、学習塾専門の株式、持分、事業売却のサポートサービスとして、今まで300件以上の学習塾売却に携わってきました。

学習塾経営者様の方には「株式売却、持分売却、事業売却は大規模な企業の話、自分には関係のないことだろう。」と考えている方も多くいらっしゃいます。


しかし、

・学習塾を閉校したいが、生徒や講師のことを考えるとやめられない

・体調面に不安があるが、引き継ぎ手がいない

・別の事業に集中したい

という方にとっても、株式売却・持分譲渡・事業売却は1つの選択肢となります。売却をすることがどのようなことなのか、それにより得られるものは何なのか、当ブログでご紹介します。

学習塾事業概要


■教室所在地
東京都23区東部

■指導形態
個別指導

■生徒数
50~60名

■売上高
約1,600万円

■営業利益
約300万円

■譲渡金額
165万円(税込)

■案件ページ

【至急/開校20年以上/高層住宅エリア】東京23区東部の個別指導の事業譲渡

1.「もう一度、子どもたちの笑顔を守りたい」―譲渡元オーナー様の想い

このお話を最初にいただいたのは、東京都23区内東部で個別指導塾を営むオーナー様(以下、A様)からでした。A様が塾を始められたのは20年以上前。現在の教室でスタートし、周囲の応援や口コミに助けられながら、子どもたちの学習サポートに全力投球で取り組んできたといいます。

ところが、昨年度から今年度にかけて立て続けに3名の講師が退職してしまい、A様は「もう来年度の指導が成り立たないかもしれない」と深く悩まれていました。何とか教室を閉めずに続けたい、でも現状では自力で乗り切るのは困難……。そんなときに「誰か、しっかりバトンを受け継いでくれる人はいないか?」とお声がけいただいたのが、私たちセカチャレです。

A様の一言
「子どもたちの成長を見届けたい気持ちはやまやまなんです。でも、講師をゼロから採用して育成して…という余力が正直ありません。どうにか、子どもたちを路頭に迷わせない方法はないでしょうか?」


2.ご縁の糸口は「近所にもうひとつ、塾を作りたい」―譲受先オーナー様の背景

A様からご相談を受けた私たちセカチャレは、すぐに候補となる塾オーナー様を探し始めました。ちょうど、近隣エリアに複数の教室を展開しており、「もう一校くらい教室を持てたら、子どもたちの選択肢をもっと広げられるんじゃないか」と考えていた法人塾のオーナー様(以下、B様)がいらっしゃったのです。

B様は地域密着型の経営で、個別指導と集団指導を掛け合わせた多彩なスタイルが強み。「もしも近場に使いやすい物件や譲渡案件があれば、ぜひ手を挙げたい」と前々からおっしゃっていました。そこへ、私たちから今回の譲渡情報をお届けしたところ、「やってみたい」「すぐに話を聞きたい」と熱い反応。

B様の一言
「うちの教室に通ってくれる子たちにも、『自分の家の近くなら助かるのに…』という声が多いんです。個別指導特化の教室を増やせば、より一人ひとりに合わせた指導ができるはず。早速話を進めたいですね。」


3.事業譲渡までの道のり―スピーディな合意へ

3-1.短期集中の交渉

  • 募集開始から基本合意まで:1ヵ月弱
  • 基本合意~最終契約:3週間

今回、一番のポイントはやはりスピード感でした。A様は「新年度に間に合わせたい」という切実な思いがあり、B様も「なるべく早く決めたい」という拡大意欲が強い。私たちセカチャレは、教室の概要書を作成してすぐに募集を始め、B様とA様の面談をあっという間にセットしました。

3-2.譲渡価格は165万円

生徒数・月謝をベースにした事業価値は165万円ほど。これをB様が「講師不足以外に特筆すべきリスクがないなら、ぜひやりましょう」とスパッと了承。早い段階で価格面の折り合いがついたことで、私たちも想像以上に早く具体的な譲渡契約の話に移れました。


4.「子どもたちを不安にさせたくない」―引き継ぎ時のこだわり

4-1.講師・生徒への周知

一番気を使ったのは、今いる子どもたちや講師陣にどう伝えるかという点でした。私たちはA様、B様と相談のうえ、現在の教室長も同席する形で面談や説明会を実施。とにかく子どもや保護者が「いつの間にか塾が変わっていた!」と混乱しないように気を配りました。

A様
「できるだけ早めに『不安に思わなくても大丈夫だよ』って伝えたかったんです。私も教室長も子どもたちに愛着があるので、丁寧に説明する時間を確保できて安心しました。」

4-2.講師の雇用条件はそのまま

A様いわく、「講師さんたちは本当にいい人ばかり。彼ら・彼女らをクビにする形だけは絶対に避けたかった」とのこと。B様もこれに賛同し、「雇用条件は基本的に継続する」という一文を契約書にも明記。ここをしっかり確認したことで、講師陣も「新しいオーナーさんなら大丈夫かな」と前向きになれました。


5.成約の決め手—「人柄の相性」と「理念の引き継ぎ」

5-1.スムーズな合意ポイント

  • 講師不足以外の大きな懸念点がなかった
    もともと生徒数や売上は比較的安定しており、財務面にも大きな問題はなし。
  • オーナー同士の価値観が近い
    A様が大切にしてきた「生徒の話をよく聞く」「成績だけでなく人間的成長も促す」といった指導方針に、B様も賛同。

セカチャレ担当(私たち)
「学習塾のM&Aでは、理念や指導スタイルが合わないと、あとあと現場がバタバタしがちです。今回のお二人は最初から『目指す教育像』が近く、話がまとまるのも早かったですね。」


6.譲渡後の様子—一歩ずつ前へ

6-1.当面は屋号変更なし、既存講師との協力スタート

譲渡後すぐに大きく看板を変えるのではなく、当面はA様が使っていた学習システムやサービスを継続活用しながら少しずつ新体制に移行する方針です。A様は「短期的に残って引き継ぎに携わりたい」と希望されていたため、B様も大いに歓迎。

B様いわく、「はじめから全部がらっと変えたら、生徒たちがびっくりしますからね。屋号や授業のスタイルは、子どもたちの様子を見ながら調整していきたい」とのこと。私たちも「無理せず、現場の声を汲み取りながら」がベストだと考えています。

6-2.シナジーへの期待

  • 生徒数拡大
    B様の他校との連携で、講師研修や教材開発のノウハウを生かせるはず。今後はイベントや勉強合宿など、さらにバラエティ豊かな指導が期待できます。
  • A様の次なるステップ
    A様は「ここまで守ってきた教室にまだ関わりたい」という思いを残しつつ、同時に「自分の新しい道を切り拓きたい」ともおっしゃっています。短期的なサポート期間が終われば、新しいプロジェクトに着手するかもしれません。

7.双方のコメント

7-1.譲渡元オーナー A様

「正直、教室を一人で頑張って回すのはもう限界でした。今回、買い手として名乗りを上げてくださったBさんが本当に温かい方で、何より子どもへの想いが強い。私たちの理念まで継いでくれると知って、胸がいっぱいです。大事にしてきた教室が、もっと大きく成長することを楽しみにしています。」

7-2.譲受先(新オーナー) B様

「Aさんが長年大切に育ててきた教室なので、その想いをちゃんと汲み取っていきたいですね。講師や生徒さんの混乱を最小限に抑えながら、少しずつ改良していけばきっとさらに良い塾になるんじゃないかと思います。今後は教室を増やす計画もあるので、まずはここを成功例にしたいですね。」


8.セカチャレからのひとこと

今回の事例は、「急な講師不足で困っているオーナー様」と「近隣で拡大意欲のあるオーナー様」の相性が見事に合致したケースでした。ともすると経営者同士の利害だけでまとまりがちですが、ここでは**“子どもたちと講師を大切にする”**という両者の共通点が決め手になりました。

私たちセカチャレとしても、こういう「人と人との巡り合わせ」が学習塾M&Aの魅力だと感じています。規模や金額だけでなく、理念や人柄が合うと一気に話が進むのです。引き継ぎ作業はまだ続きますが、すでに教室では「新体制でも頑張ろう!」という活気が生まれ始めているようで、私たちもホッとしています。

もし同じように、「講師の退職がかさんで不安……」「このままでは塾経営を続けるのが難しい」というオーナー様がいらっしゃいましたら、諦める前に一度ご相談ください。人材不足というピンチを逆手に取り、思いもよらない素敵なパートナーと巡り合えるかもしれません。大切な教室を手放すのではなく、新しい形で未来をつなぐお手伝いを、これからも全力でしていきたいと思います。


以上が、地域密着型の個別指導塾が講師不足をきっかけにして、近隣の拡大意欲のあるオーナーへバトンを渡した成約事例です。「もうダメかもしれない…」と思っていた教室が、新しい出会いで息を吹き返し、さらに成長の可能性を秘める――。これこそが学習塾M&Aの醍醐味だと、私たちセカチャレは感じています。