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事業譲渡例70|赤字から3年で黒字化した個別指導塾の承継:決め手は組織の「自走性」

2026年4月3日
譲渡例(今までのケース)

こんにちは!「学習塾売却のセカチャレ」を運営する株式会社インフィニティライフの吉田です




埼玉県にて、設立3年で赤字から黒字へとV字回復を遂げた個別指導塾。自走する塾の継続雇用を条件に、同業他社が利益1年分の評価で承継した事例をご紹介します。



今回は、埼玉県で運営されていた個別指導塾の事業譲渡事例を解説します。本件のハイライトは、前オーナーから譲り受けた赤字塾を、わずか3期で利益800万円超の優良案件へと再生させた売り手さまの手腕、そして買い手が最も評価した現場の「自走性」にあります。


学習塾事業概要

本案件は、1教室ながら強固な収益基盤と組織体制を構築していました。



項目内容
所在地埼玉県(1教室)
譲渡形態事業譲渡
生徒数 / 講師数40〜50名 / 約10名
財務状況年商約2500万円 / 利益約800万円(2025年)
譲渡金額850万円+消費税 ※直近期営業利益の約1年分



事業譲渡を決めた背景



売り手さまは、前オーナーから赤字状態の塾を引き継ぎ、法人を新設して再生に尽力されてきました。独自の経営改善により、3期目には利益率30%を超える高収益体質を実現されましたが、代表者さまご自身の状況により継続的な経営が困難となったため、第三者への承継を決断されました。



売り手さまの「一番の不安」



売却にあたって最大の懸念は、「教室長の継続」でした。本教室は、代表者が現場に張り付かなくても運営が回る「自走性」を強みとしており、その中心人物である教室長が離脱することは、事業価値の毀損に直結するリスクがありました。

教室長は雇用条件に変化がなければ問題なく継続するというのが売り手さまの見立てではありましたが、可能性は残るため、慎重にことを進めたいと強く考えてらっしゃいました。

セカチャレは、この「自走性」を維持したままバトンタッチするスキームを最優先に設計しました。


買い手さまの属性と意図


買い手さまは、さらなる拠点拡大を目指す同業他社法人でした。


  • 決め手: 3年間右肩上がりで成長している実績に加え、何より「教室長が継続雇用可能であること」を高く評価されました。
  • 自走性の価値: 複数教室を運営する買い手にとって、現場が自律的に動いている組織は管理コストが低く、即戦力の拠点となります。
  • 価格の妥当性: 営業利益の約1年分という、投資回収の予見性が高い価格設定が合意の決め手となりました。


交渉プロセスと「壁」



お問い合わせから成約まで約半年強、買い手さまとの初面談からは約2ヶ月という、非常にスムーズな進行となりました。しかし、実務面ではプロのアドバイザーによる細かな調整が不可欠でした。



1. 賃貸借契約の巻き直し

事業譲渡において最も煩雑な手続きの一つが家主との交渉です。本件では、賃貸借契約巻き直しに売り手様の承認印も必要となったため、セカチャレが仲介として入り、売り手・買い手双方の足並みを揃えて手続きを主導しました。これにより、賃貸借契約の手続きに伴うトラブルを未然に防いでいます。

2. 労務・法務DD(デューデリジェンス)の完遂

塾業界では講師の雇用契約や労務管理の透明性が厳しくチェックされます。皆様ご存知の通り、季節講習や受験期といった繁忙期では業務量が増え、残業が発生することが多々あります。こういった業務量の変動の大きさから、雇用契約書や、残業に関する規定、残業時間は細かくチェックされます。セカチャレは、必要となる膨大なDD資料を整理し、売り手さまへ準備指示を行いました。資料の正確性が買い手さまの安心感につながり、早期成約を後押ししました。

PMI(引継ぎ)と成約後の状



成約後も、現場の「自走性」を損なわないためのソフトランディングを重視しました。



  • 引継ぎ期間: 成約から2ヶ月間、定期的なミーティングを設定。現場の細かなオペレーションや生徒ごとの特性を丁寧に引き継ぎました。
  • 生徒・従業員の反応: 教室長および講師10名全員が継続。指導環境が変わらないことを丁寧に伝えた結果、生徒の離脱は受験生終了生徒のみという極めて良好な承継となりました。
  • 現在の状況: 引き継ぎ直後のため大きな変更は行わず、屋号引継ぎ、講師据置とまずは既存の自走組織を尊重した運営が継続されています。



学び:塾M&Aを成功させる「自走性」の構築



本事例は、個人塾から組織的な運営へと脱皮した塾が、市場でいかに高く評価されるかを証明しています。



  1. 「代表者不在」でも回る仕組み: オーナーが現場を離れても利益が出る状態(自走性)は、買い手にとって最大の魅力です。
  2. 右肩上がりのトレンド: たとえ短期間であっても、赤字からの回復実績は「再現性のあるノウハウ」として評価対象になります。
  3. アドバイザーによる資料整理: 適切なDD(デューデリジェンス)対応が、交渉後半のスピード感を左右します。



終わりに



本件は、売り手さまが3年間で積み上げた「自走する組織」が、同業他社の拡大意欲と完璧にマッチした事例です。特に「教室長の継続」という大きな要因を問題なくクリアできたことが、離脱ゼロの成約につながりました。



自塾の売却や、自走性の高い組織への承継をご検討中の方は、まずは現在の運営体制の棚卸しから始めてみてください。




この記事の著者


M&Aアドバイザー 吉田諭


首都大学東京都市教養学部機械工コース(東京都立大学 システムデザイン学部 機械システム工学科)卒業後、大手教育系企業、建材メーカーを経て、株式会社インフィニティライフに参画。学習塾M&A事業のアドバイザーとして、80件以上の学習塾案件を支援、30件程度を成約に導いた。


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