こんにちは!「学習塾売却のセカチャレ」を運営する株式会社インフィニティライフの高木です。
セカチャレは、学習塾・スクール系の事業を営む企業や個人事業主の方を対象とした株式・持分・事業譲渡の支援を専門に行っています。今回は、海外大学への進学支援と英語学習指導を展開する法人について、株式譲渡での成約事例をご紹介します。
セカチャレは、学習指導を行う学習塾の案件の支援が多いですが、近年は子ども向け英会話教室やインターナショナルスクール、今回のような海外留学支援など、英語教育等に関わる事業の案件も増えてきています。
今回はそのような事業を運営する法人のM&Aプロセスのご紹介です。
目次
・本社所在地:東京都
・業態、提供形態:海外大学進学サポートと英語学習指導(オンライン対応がメイン/海外での現地対応あり)
・顧客数:約100名
・売上高:年商約8,000万円
・営業利益:約▲300万円(過去決算では赤字である一方、足元の収支状況は改善傾向)
・運営年数:約10年
・譲渡金額:1,000万〜2,000万円
・自走可否:可(現経営陣・運営人材は全員残留)
・強み:難関大学への留学ノウハウ/多国展開に対応する支援プロセス/付随の英語教育プログラムでも収益化
・人員体制:役員複数名、社員複数名、業務委託数十名
・賃貸、移転:なし(拠点制約が小さいオンライン中心モデル)
売り手さまは、運営する事業において顧客数が増加し売上は立っている一方で、成長投資や前受金管理、季節性によるキャッシュの山谷の影響から、資金繰りに課題を抱えていました。
直近の月次では改善が進むものの、事業の可能性をさらに引き出すためには、運転資金の厚みと事業管理の強化が必要――そこで、教育領域に知見があり、財務基盤の厚い買い手さまと一体化する意思決定に至りました。
仲介の選定において、何社かご検討はされていたとのことでしたが、セカチャレが教育事業に特化し、手数料水準が比較的リーズナブルである点に魅力を感じていただき、ご利用がスタートしました。
★セカチャレは、譲渡金300万円以下の場合、売主さまからの手数料はいただいておりません。是非ともお気軽にご相談ください。
市場で評価されたのは、
(1)約100名の安定した顧客基盤
(2)名門大学を含む留学実績とプロセスが型化されている点
(3)英語教育プログラムなど複線の収益源
がある点でした。
買い手さまの母集団は、同業の教育事業者、海外留学領域の周辺サービス運営者、人材業や就職支援で海外経験者と接点を持つ企業さまなど。
最終的に、国内で受験指導や就職支援を行う教育系企業さまが有力候補となり、オンラインTOP面談→買い手さま本社でのTOP面談→意向表明→条件調整へと進みました。
この企業さまは、サービス提供の対象としている層が比較的富裕層であったことから、ターゲットが似ている部分もあり、双方への送客も考えられるという点もシナジーとして感じてくださっていたようです。
そのようなご縁もあって、2025年7月の利用開始から、8月中旬に基本合意、9月初旬に株式譲渡・決済まで完了し、全体で約2ヶ月のスピード成約となりました。
今回のDDの主眼は、特に労務・法務・ビジネスの3領域です。良くも悪くもスタートアップらしい運用で回していた部分がないかを精査し、雇用・委託契約の実在性・更新状況、個人情報の取り扱い、留学先とのアレンジに関わる法務リスクや責任範囲を確認しました。
ビジネス面では、前受金の明細、顧客別のカリキュラム・単価・受講期間、リテンションの実績をすり合わせ、PL・CFの季節性とKPI(問い合わせ、面談化率、受注率、出願〜合格率)を分解しました
。買い手さま側に留学支援の直接ノウハウは限定的であったため、運営の型(プロセス・チェックリスト・SLA)を可視化して承継することを前提に、運営人材の全員残留で合意しています。
スキームは株式譲渡。過度なアーンアウト等は設けず、一般条項中心でシンプルに設計。元々ある程度の資料は出揃っていたこともあり、監査的DDで致命的論点は出ず、想定通りの条件でクロージングに至りました。
人:基本合意の段階でキーパーソンへ早期に趣旨説明と動機づけを実施。譲渡契約〜クロージングに合わせて、役割と評価の基準、意思決定の稟議フローを整理し、買い手さまの管理ノウハウを移植しつつ運営の改善に着手しました。
顧客:オンライン中心で接点が散在しがちなため、サポート窓口と連絡導線を統一。既存顧客への料金・サービス条件は原則据え置きとし、体験の連続性を確保しました。今後のサービス設計においては付加価値の提供から値上げをし、さらなる財務基盤の向上を検討しているようです。
契約・IT:必要な名義・アカウントの切替を予定通り完了。学習・CRM・会計の各システムで権限設計・棚卸し・アクセスログの見直しを行い、個人情報保護のルールを統一しました。
広報:外向けの大々的な発信は控え、既存顧客とパートナーに限定して丁寧に周知。混乱を避ける方針です。
運営体制の継続性
今回のM&Aのキモの一つが、現運営体制の継続です。M&A後にキーマンが抜けてしまい、運営体制が保てなくなるということが大きな懸念点となっていました。
そこで、クロージング前にキーパーソンへ個別説明を行い、役割・評価・裁量の枠組みを具体化。オンボーディングや待遇面の部分でメリットを提示し、動機づけを行いました。(時期:基本合意後〜クロージング)
・キーパーソンへの「先行説明と動機づけ」は、PMIを早期安定させる最短ルート。評価基準と裁量の線引きを事前に明確化する。
・オンライン中心モデルでは、前受金管理と個人情報の統制が信用の要。明細の可視化と権限設計の見直しはDD〜PMIの一本線で扱う。
・買い手さまの既存事業(受験・就職支援)と接続するタッチポイントを設計し、クロスセルの実験を小さく早く回す。
本件は、強い顧客基盤と難関大への実績を持つ留学支援企業が、財務・管理の厚みを求めてより大きな教育企業のグループに参画したケースです。株式譲渡により法人・契約・人材・ノウハウを丸ごと承継し、運営の連続性を保ちながら改善へ踏み出しました。
スクール・教育サービスのM&Aをご検討の経営者さまは、まず「顧客・前受金・人材・情報管理」の4点を棚卸しし、シナジー仮説とPMI初動を同時に描くことをおすすめします。
また、それらのタイミングからセカチャレはご支援しておりますので、少しでも可能性がある場合は、是非ともおやめにご相談ください。ご連絡、お待ちしております。
取締役 M&Aアドバイザー 高木直人
埼玉大学教育学部卒業後、大手教育系企業、私立中高一貫校講師を経て、株式会社インフィニティライフに参画。学習塾事業、学習塾M&A事業の責任者として、100件以上の学習塾案件を支援、40件程度を成約に導いた。2023年に株式会社バトンズが選ぶベストアドバイザー賞にノミネート。
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★株式会社バトンズが主催する2025年M&Aプロフェッショナルアワードにて「成約賞」を受賞しました。