こんにちは、セカチャレを運営する株式会社インフィニティライフの高木です。
いよいよ4月に入り、新学期がスタートしました。学習塾も新たな1年のスタートと同時に、春期講習の真っ只中でもあります。
さて、今回は学習塾の買収に関わる”案件の選び方”についてお話します。
「営業利益が出ているから安心だ」
「駅から近いから集客には困らないだろう」
M&Aで塾の買収を検討する際、多くの方が最初にチェックするのは「決算書の数字」や「立地」といった、見て判断ができる材料です。しかし、5年以上の学習塾M&A支援を行ってきた現場の視点から言えば、数字はあくまで「過去の結果」であり、必ずしも買収後の成功を保証するものではないと言えます。
帳簿には載らない「構造」と「中身」が、塾経営の成功を左右することもあるのです。プロのアドバイザーが良いと思う、難しいと思うパターンをご紹介します。
目次
私が案件を精査する際、利益の額と同じように見ているのは、「その利益がどうやって生み出されているか」という構造です。同じ金額の利益だとしても、その源泉が違えば、中身は全く違うと言えます。
売手さまが自ら全科目を教え、教室長業務の全般を担うオーナーのカリスマ性で売っている塾は、買収後に売上が激減するリスクが若干あると言えます。
※私個人は『皆さんが思っているほど影響は大きくない(むしろそこまでない)』というのが今まで支援をした学習塾の譲渡後を見てきたときの印象です
とは言え、オーナーがいなくても現場が回っている(自走している)塾は、そうした心配をする必要がない、買手さまにとって最高の「掘り出し物」です。M&Aに伴う変化の影響が少なく、スムーズに経営を引き継げるからです。もちろん、その現場を回す方の引き継ぎは重要にはなってきます。
「中学受験ならここ」「地域で長年、〇〇中学の定期テスト対策に特化してきたので、過去問やデータがたくさん溜まっている」といった、いわゆるニッチ・トップ(狭い領域での圧倒的な強み)を持っている塾は、外的要因に左右されにくいと言えます。この「専門性」は、ゼロから築くには数年かかる貴重な資産です。
収支状況が安定しているように見えても、以下のパターンは逆に注意が必要なケースがあります。
買収初年度から若干苦労してしまい、買収前にイメージしていた未来と異なってしまうことも考えられます。
従業員との不協和:前オーナーとスタッフの関係性があまり良くない場合、オーナー交代を機に講師やその他関係者からの不満が出てきて、その解決などに時間や労力を要してしまうことが考えられます。
逆に、それらを乗り越えた時に強固な組織になる、という副産物はありますが、スタートで苦労したくない場合は、周囲との関係性をある程度把握できた方が良いと感じます。
「卒業生頼み」の危険な数字:その年だけたまたま受験生(中3・高3)が多く、利益が出ているケースがあります。例年、受験生比率が多いようであれば「例年とも受験生が多くなる」ことを見越して計画が立てられますが、単発なのか、そういう特徴がある塾なのかを見定める必要があります。
単発だけであると、翌4月になった瞬間、教室がガラガラになるリスクがあります。「次年度以降の生徒数」の確認は必須です。
基本的には、M&Aを進める過程において現地で面談をする機会があります。このときに、以下の項目を意識してみてもらうと良いかもしれません。
・掲示物の「鮮度」:テスト日程や合格実績、成績アップ記録…など、教室の外や中には様々な掲示物が貼ってあります。この掲示物の更新頻度、回数が、その塾の盛り上がり度を判断する材料にもなります。
盛り上がっている塾は、総じてこれらの掲示物がしっかりしており、新しいものがたくさん貼ってある印象があります。
・備品の「手入れ」:トイレの清掃状態や、机・椅子のガタつきなど、細かい部分への配慮が行き届いている教室も、掲示物と同様に、盛り上がっている印象があります。
・駐輪場の「広さとクレーム」:駐輪場は、きちんと確認しておいた方が良いかもしれません。そもそも現時点で存在するのか、これ以上生徒が増えた時に対応できるのか。難しいとなればどのような案が考えられるのか。
また、意外と駐輪場は近隣住民やテナントとのトラブルに繋がることが多いです。そうした話がないか、関係性は良好なのか、確認しておくと良いかもしれません。
M&Aは「人から人へ」のバトンタッチです。数字と同じくらい、前オーナーの性格が成約後のスムーズさを左右します。譲渡が成立した後に、どのような関わり方をする人なのか、その点の見定めも必要になってきます。
協力的な姿勢のバランス:引き継ぎに協力的なのはありがたいことですが、引退後も現場に口を出しすぎる「過干渉」のリスクも考慮しなければなりません。
特に、引き継ぎ者があまり学習塾の経験が多くない人であると、売手さまは張り切って「教育」しようとする人が多いように感じます。
必要な要素を、必要な量、教えてくれる人であるか。ちょうど良い距離感を保てる相手かどうかが、新オーナーの「経営のしやすさ」に直結します。
丁寧で細かいオーナー:資料の管理が行き届いている方は、引き継ぎもスムーズなことが多いです。また、何か欲しい情報や資料が引き継ぎ後に出てきた場合に、聞けばすぐに教えてくれます。
(あまりに前任者がずさんな場合は、そもそもそれらのものがない、ということも考えられます)
このような方は、前述の距離感のバランスも兼ね備えている方が多いように感じます。
ここまで様々な視点から案件の捉え方を語ってきましたが、結局のところ、最終的には何を軸として決めるべきなのか。多くの案件を比較して迷っているなら、最後は「売手さまとの相性が良いと感じるか、コミュニケーションが心地よいか」で選ぶのが良いのではないかと私は考えています。
数字や立地は変えられませんが、塾の「これから」は買手さまの熱量や行動で変えられます。しかしながら、売手さまの協力も、どの熱量や行動に影響を与えるものだと感じます。
例え売手さまは継続して勤務することがなく、引き継ぎと同時に退くとしても、その点は重要視すべきものの1つになるのではないでしょうか。
もちろん、セカチャレは、「なぜこの塾は売却するのか?」「数字の裏にある本当のリスクは何か?」という、買い手の方が後に「こんなはずじゃなかった」と後悔しないよう、徹底したフィルタリングやヒアリングを行っています。数字と感情、双方から判断していただけるような材料を揃えていますので、安心してお問い合わせください。
この記事の著者

取締役 M&Aアドバイザー 高木直人
埼玉大学教育学部卒業後、大手教育系企業、私立中高一貫校講師を経て、株式会社インフィニティライフに参画。学習塾事業、学習塾M&A事業の責任者として、100件以上の学習塾案件を支援、40件程度を成約に導いた。2023年に株式会社バトンズが選ぶベストアドバイザー賞にノミネート。
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