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学習塾の売却相場は「利益の2年分」?スモールM&Aで正当な評価を勝ち取る戦略を検討!

2026年2月17日
学習塾M&A

こんにちは、セカチャレを運営する株式会社インフィニティライフの高木です。


私はセカチャレの立ち上げから携わり、学習塾のM&A支援に携わって5年以上が経ちました。現場で常に売主さまから問われるのは、「私の塾の『正当』の価格はいくらですか?」という切実な問いです。


M&Aの世界において、営業権(のれん代)は「利益の3年〜5年分」と言われることが多くなりました。しかし、セカチャレで支援することが多い年商1億円以下の学習塾スモール案件における、現在のリアルな相場は【営業利益の約2年分程度】とされることが多いように感じます。



なぜ、相場はシビアになっているのか。そして、その中でも「高値」で選ばれる塾は何が違うのか。5年間の成約データと買い手さまの本音から、解説していきます。


営業利益「2年分」の壁。なぜ3年ではないのか?


現在、多くの買い手企業さまや個人投資家の方が、学習塾の営業利益倍率を「2年」前後で見立てていると感じています。これには、塾業界特有の「半ストック型ビジネス」という構造的なリスクが関係しています。


少子化と「卒業」という宿命


学習塾は一度入塾すれば継続的に収益を生むストック型ですが、毎年春には必ず一定数の生徒が「卒業」により離脱します。つまり、「何もしなくても利益が維持される」期間が極めて短いのです。


  • 激化する集客コスト: 少子化により、1人の生徒を獲得するための広告宣伝費(CPA)は年々上昇しています。
  • 不透明な5年後: 3年、5年という長期の利益予測が立てにくい市場環境下では、買い手は「2年で投資資金を回収できるか」をデッドラインとして設定する買い手さまが多い。


この「2年」という数字は、塾の価値を低く見ているのではなく、「確実性の高い未来」に対する対価であると考えることができます。


後の話と繋がってきますが、上記のことから「受験生比率の高い塾」は、単価が高くそれに伴い売上高が上がるにも関わらず、来期以降の人数がより不透明になってしまうことで、評価がしづらくなる傾向があると感じます。


2. 査定価格を左右する「4つの無形資産」


数字上の利益が同じでも、最終的な成約価格に1.5倍以上の開きが出ることがあります。買い手さまが「2年分と言わず、もっと出したい」と身を乗り出すのは、決算書には載らない以下の要素です。


① 「教室長」という最大の資産

オーナー様が現場を離れても運営が回る仕組み(いわゆる「自走している」状態)ができているか。これがスモールM&Aにおける最大の評価ポイントです。


アドバイザーの視点: 買い手さまの多くは「現場を回すリソース」を求めています。優秀な教室長が在籍し、雇用継続の合意が取れているだけで、成約率は飛躍的に高まります。(※実務的には最終契約後、従業員へのアナウンスとなりますので、その際にどの程度継続可能性があるか、という視点にはなります。)


また、教室長がいるメリットとして、譲渡のタイミングで「教室長変更による生徒離脱」を抑えることができたり、レピュテーションリスクを回避することができます。


② 講師採用の「勝ちパターン」の有無

ここ数年、塾経営者さまからは「講師募集がうまくいかない」というお声をよく聞きます。以前は高時給と言われた塾講師、今は最低賃金が上がったことで、他業種の時給も上がり、さほどその優位性を保てなくなったことが大きな理由であると考えられます。


独自の講師採用ルート(近隣大学とのパイプや、卒業生が講師として戻ってくる仕組み)がある塾は、それだけで価値を見出していただくことが可能です。


③ 専門性とエリアシェア

「〇〇中学受験ならここ」「地域で唯一の自立学習型」といった、明確なコアコンピタンスを持つ塾は強いです。汎用的な塾は、買い手候補者の母数は増えますが、決め手に欠けるイメージです。それよりも、「そのエリアでのブランド力」のような特異性がある場合は、買う動機が生まれるため、価格交渉で優位に立てます。


④ 大家・管理会社との良好な関係

スモールM&Aにおいて、意外な伏兵となるのが「賃貸借契約」です。事業譲渡の場合、賃貸借契約の引き継ぎができないので、改めて賃貸借契約を結び直すことになります。
その際に、売主さまと大家さんとの信頼関係が厚く、譲渡時の名義変更や条件交渉がスムーズに進む見込みがあることは、買い手さまにとって大きな安心材料(リスクヘッジ)となります。


3. プロが教える「価格を下げないため」の自己防衛策


売却を検討し始めた段階で、以下の「減点要素」を放置していると、本来つくはずだった価値を大きく毀損します。


  • 「公私混同」の帳簿: 節税のために過度な個人経費を計上している場合、実態の利益を証明するための「引き直し計算」に時間がかかり、買い手さまの不信感を招く可能性があります。使途不明金がなく、きちんと説明ができる、収支状況の実態をきちんと把握できるレベルにとどめておくことがベターです。
  • オーナーへの過度な依存: 「先生がいなくなるなら辞める」という生徒が半分以上を占める状態では、事業としての価値はゼロに等しくなってしまいます。小規模な学習塾の場合、オーナーさまのキャラクターで集客、規模の維持をせざるを得ない、というパターンは大いに考えられます。しかし、可能であれば徐々にフェードアウトをしても、同じ規模や運営体制が保たれる状況にできれなお良いです。


「今、自分が倒れてもこの塾は1ヶ月回るか?」 この問いに対する答えが、あなたの塾の「売却価値」そのものだと考えることができるかもしれません。


4. 高木が大切にしている「論理と感情」


M&Aにおいて、買い手さまから見れば収支情報などの数字が譲渡金額を決める最優先事項であり、客観的に評価ができる指標となります。今後の収益性はどうなるのか、投資回収がどの程度で見込めるのか。売り手さまにとっては、いくらで評価してもらえるのか。手残りはいくらになるのか。そのような「数字」や「論理」が話の中心になることは間違いありません。


しかしながら、私がM&Aを進める上で最も重視するのは、「双方がどのような感情を抱いているのか?」という一点です。


交渉の過程で、それぞれの気持ちはいろいろな方向に動きます。誰もがわかるようなリアクションであれば、人によってはその動きがわかりづらい、気付かぬうちによからぬ方向に…ということもあるかもしれません。その機微を汲み取ることや、どのような精神状態のときに、どのような声掛けや対応が必要なのかを考えることに力を入れています。


論理だけでなく、感情のバランスが、M&Aをそれぞれにとって最高の結果を生み出す上で、重要な要素だと感じています。

5. 自身の価値を「正しく」知ることから全ては始まる


「自分の塾なんて、規模も小さいしそもそも売れないでしょ?」 そう仰るオーナー様に限って、地域に根ざした素晴らしい教育を実践されているケースを、私は山ほど見てきました。


市場の相場を知ることは、決して「売却を急かすこと」ではありません。客観的な価値を知ることで、次の一手(存続か、磨き上げか、譲渡か)を冷静に判断できるようになるのです。


5年間の知見を持って、経営者さまの塾が積み上げてきた「目に見えない価値」を可視化するお手伝いをします。まずは、現在地を確認するための対話から。お気軽にお問い合わせください!



この記事の著者



取締役 M&Aアドバイザー 高木直人


埼玉大学教育学部卒業後、大手教育系企業、私立中高一貫校講師を経て、株式会社インフィニティライフに参画。学習塾事業、学習塾M&A事業の責任者として、100件以上の学習塾案件を支援、40件程度を成約に導いた。2023年に株式会社バトンズが選ぶベストアドバイザー賞にノミネート。


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★株式会社バトンズが主催する2025年M&Aプロフェッショナルアワードにて「成約賞」を受賞しました

https://batonz.jp/learn/18063