こんにちは、セカチャレを運営する株式会社インフィニティライフの高木です。
昨今の学習塾業界において、「少子化」という言葉は最もよく聞く言葉の一つです。学習塾を経営されている皆さまにとって、子供の数が減ることは市場の縮小を意味し、一見すると大きな向かい風に感じられるはずです。実際に、買収を検討されている方も、少子化の影響を気にしている方がほとんどであると感じます。
子ども一人当たりの養育費は増えているから、市場規模は実際のところは横ばいで…と言われても、だからと言って見過ごせるかと言えば、そうではありません。
しかし、多くの成約支援を行ってきた現場の視点から言えば、この局面こそが強固な経営基盤を作る最大のチャンスでもあると感じます。単独で守りに入るのではなく、M&Aを活用して攻めに転じることで、どのように生き残り、そして成長できるのか。その具体的な戦略を考えてみます。
目次
子どもの数が減り、進路や手段の多様化によって塾選びがより慎重になっている今、保護者さまが重視する要素の1つに、相変わらず「安心感」と「信頼」があると感じます。
単一の教室運営では、どうしてもその校舎の評判だけに依存してしまいます。しかし、M&Aによって複数教室を展開することで、地域における認知度が上がり、ドミナントとしての信頼感が増します。これが各教室の生徒数増加に寄与する好循環を生むのです。「複数教室を運営しているから、ちゃんとしているのだろう」と思ってもらえるわけです。
また、それぞれの塾が持つ異なる強みを組み合わせることで、自教室に足りなかった要素を補い、相互に送客できる体制が整います。まさに1+1を3にする戦略です。詳しくは後の章で言及します。
ある程度の商圏をまとめて押さえるエリア戦略は、少子化時代において極めて合理的な選択と言えるかもしれません。「ドミナント戦略」という言葉もありますが、学習塾業界においてはよりその恩恵が受けられると感じます。
商圏が若干重なる複数の教室を運営することで、チラシやWEB広告などのプロモーション費用を一点に集中、あるいは効率よく分散させることができます。
さらにここで、前述の「何教室かをこのエリアで運営している」という安心感、信頼感へもつながるのです。
今の塾経営において最大の悩みは「講師の確保」ではないでしょうか。複数教室を運営していれば、急な欠員が出た際も講師を共有・融通し合うことができ、人手不足によるチャンスロスを防げます。
講師も担当コマが安定する、増えるといったメリットを享受することができるため、ウィンウィンの関係になることが考えられます。
地域で一定のシェアを握ることで、近隣校と不毛な価格競争に巻き込まれるリスクを減らせます。価格体系を統一し、安定した収益構造を維持することが可能になります。
同じエリアの似た環境で、「どのキャンペーンが響くか」「どの指導法が効果的か」といった比較検証が可能になり、経営判断の精度が飛躍的に高まります。
私たちが支援してきた学習塾の多くは、地元の小学生、中学生をターゲットとした「地元の高校受験に向けて準備をする塾」でした。しかし、これまで通りの「高校受験一択」では、パイの奪い合いに疲弊してしまいます。M&Aは、自塾に新しい「武器」を即座に取り込む手段の一つにもなるのです。
・高校受験 + 中学・大学受験のラインナップ拡充
・高校受験 + プログラミング教室
・大学受験 + 英語特化指導(4技能対策など)
このように、既存の顧客に対して「新しい価値」を提案できる体制を整えることで、少子化の中でも一人あたりの通塾期間や単価を伸ばし、売上を安定させることができます。
以前の記事で紹介をしましたが、小学生から高校生をターゲットとしている学習塾が「小学校受験」の事業を買収し、そのノウハウを他のエリアにも広げていきました。まさにこの買収もそうで、小学校受験で無事に合格した生徒に、小学校に上がった後も継続してもらうことでLTVを増やす目的がありました。
学習塾を買収することは、単純に売上の増加につながりますが、実はコスト構造にも良い影響を与えることもあるのです。
最近では、1名の責任者(マネージャー)に複数教室を統括してもらう体制をとっている教室が増えてきたように感じます。これは一教室あたりの管理コストを下げ、利益率を向上させることが狙いですが、M&Aにおいても活用することができる手法となります。
既存事業の教室長を、対象事業のマネージャーとして就任させ、当初想定していた管理者1名体制よりも多く利益を生み出すことができるかもしれません。
※もちろん、その分管理体制をきちんと整える必要が出てきますが…
バックオフィス業務や教材選定、各種手続きを一本化することで、現場の講師が「生徒と向き合う時間」を最大化できます。これはサービスの質向上にも直結します。
大手塾が組織力で攻めてくる中で、小規模塾が取るべき戦略の1つは「キャラクター」の徹底活用です。
オーナーさまや教室長の個性を前面に押し出し、「この先生に教わりたい」というファンを作る。M&Aで経営基盤を安定させつつも、現場では属人的な魅力を武器にする。このハイブリッドな形こそが、地域密着塾が生き残るための方法の1つと言えます。
とは言え、あまりにキャラクターに依存してしまうと、属人性の高さから維持や承継が難しくなるという側面もあるので、それらのバランスを考えながら取り組む必要があります。
少子化は、間違いなく学習塾経営者にとって逆風であると感じます。
しかし、新型コロナウイルスの流行のことを思い返してみると「それまでうまくいってた塾は特に影響がなく、それまで苦しんでいた塾はより苦しんだ」という結果であったと考えています。
順調に経営・運営ができている塾にとっては、一定期間物理的に営業ができない期間はあったにせよ、あまり大きな影響がなかったのです。
その背景には、経営者さまや関わる方の工夫や努力が間違いなくあったはずです。それであれば、少子化と呼ばれる外的要因に対しても、必ず解決策や、乗り越える手段があるはずです。その手段の1つの可能性をもっているものが、学習塾のM&Aになると考えています。
現時点ではそこまで興味がない方でも、現状を伺いながら、さまざまなご提案ができればと思っておりますので、お気軽にお問い合わせください。
この記事の著者

取締役 M&Aアドバイザー 高木直人
埼玉大学教育学部卒業後、大手教育系企業、私立中高一貫校講師を経て、株式会社インフィニティライフに参画。学習塾事業、学習塾M&A事業の責任者として、100件以上の学習塾案件を支援、40件程度を成約に導いた。2023年に株式会社バトンズが選ぶベストアドバイザー賞にノミネート。
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