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まさかの理由で頓挫する?学習塾M&Aの盲点であり重要な「賃貸借契約」を引き継ぐ実務ポイント

2026年5月18日
塾開業・廃業学習塾M&A学習塾買収

こんにちは、セカチャレを運営する株式会社インフィニティライフの高木です。


学習塾のM&Aを進める中で、売手さまと買手さまの間で条件が完全に合致していたとしても、最後の最後で予期せぬハードルが待っていることがあります。その最大の原因の一つが、教室として借りている物件の大家さんとの「賃貸借契約」の引き継ぎです。


学習塾において校舎という場所は経営の要ですが、不動産の手続きは当事者間だけでコントロールできない第三者が絡むため、専門的な知識と入念な準備が必要です。今回は、不動産実務の視点から、塾M&Aで失敗しないための賃貸借契約のポイントを詳しく解説します。


なぜ塾M&Aにおいて賃貸借契約がこれほど重要なのか


学習塾の事業を譲り受ける際、物件の契約がスムーズにいくかどうかは、M&Aそのものの成否を直結させます。理由は大きく3つあります。


当事者間でコントロールできないリスク


売手さまと買手さまがどれだけスムーズかつ友好的に交渉をまとめたとしても、建物の所有者である大家さんが「新しい人には貸したくない」と言えば、その校舎で塾を続けることはできなくなってしまいます。


大家さんにとっては、このM&Aは言ってしまえば他人の話、このようにある意味関係のない第三者が絡んでくることは、想定外の事態を巻き起こす原因にもなり得ます。



収支を大きく左右する固定費


塾の経営において、家賃は人件費や広告費と並ぶ、支出の中で大きな割合を占めるものです。この金額がいくらになるかで、買手さまが引き継いだ後の黒字化ラインが大きく変わります。


それまで、現在の条件である程度シミュレーションを行っていたこともあり、急にその目線が崩れてしまうことがあります。



初期費用の負担感


保証金や礼金、仲介手数料など、物件を借りるための初期費用はM&Aの総投資額の中でも大きな割合を占めます。ここの条件交渉が、買手さまの資金計画に影響を与えます。


大家さんや管理会社との交渉で起きやすいリアルな条件



近年、物件の名義変更や契約の巻き直しにおいて、大家さん側から提示される条件は、借主側にとって厳しくなる傾向にあります。現場でよく見られる3つのトレンドを押さえておくことで、シミュレーションをより現実に近い数字で出せることが可能となります。


家賃等の条件引き上げが主流に


土地の価格が上昇し、昔と同じ条件のまま引き継げるケースは減っています。近年は、オーナーが変わるタイミングで家賃や管理費などの条件が基本的に引き上げられることがほとんどです。


特に、長年同じ条件で続けてきた物件の大家さんにとっては、このタイミングがチャンスとばかりに条件提示をしてきます。ある程度の値上げを前提に、シミュレーションを行う必要があるかもしれません。


原状回復義務の承継


売手さまが何年も前に内装を施した校舎であっても、その原状回復義務(退去時にスケルトンに戻す義務など)は買手さまがそのまま引き継ぐ形を求められることが一般的です。


将来的に退去する可能性がある場合は、その際の撤去費も検討しておくと、そのタイミングで困らずに済みます。


保証会社の利用だけでなく連帯保証も必要になるケースも


大家・管理会社側としては、まず保証会社の加入を必須にしてくるケースがほとんどです。その上で、さらに代表者の連帯保証を必要とする物件も増えてきています。


保証会社の利用にあたっては、最初に家賃月額の80〜100%の費用がかかりますので、この点も初期費用として押さえておきたいです。


株式譲渡と事業譲渡で驚くほど変わる不動産手続き


M&Aを行う際の取引スキーム(手法)によって、賃貸借契約の手続きにかかる労力は全く異なります。


法人の譲渡(株式譲渡)の場合


会社そのものを丸ごと買い取る形式のため、賃貸借契約の名義は会社のまま変わりません。手続きとしては「代表者変更届」を提出する程度で済むため、ほとんど手間は発生しません。


ただし、元の連帯保証人に売手さまの個人名義が入っている場合は、買手さまの新しい代表者へ変更する手続きが合わせて必要です。

事業譲渡の場合


塾の事業だけを切り離して譲渡する形式のため、物件は完全に「新しく借り直す(契約の巻き直し)」ことになります。そのため、買手さまの負担は非常に大きくなります。


一般の人が新しく店舗を借りる際に行うプロセスのほぼすべて(書類提出、入居審査、新しい契約書の締結、各種費用の支払い)を経る必要があります。


場合によっては名義変更になり、上記ほどの手間はかからない可能性がございますが、敷金の入れ替え(実際は入れ替えではなく上乗せでの支払い)等の手続きは入ってきます。


気をつけたい「中途解約の告知期間」


売手・買手の間で具体的なスケジュールがまとまったとしても賃貸借契約書をよく読み直すと見落としがちな内容が存在します。その代表例が「中途解約の告知期間」です。


通常、物件を解約したり名義を変更したりする場合、3ヶ月前や6ヶ月前までに大家さんに解約通知を出さなければならないというルールが課されているものがあります。 この告知期間を過ぎてしまっていても、M&Aによる譲渡のタイミングに合わせて柔軟に契約を切り替えてくれる優しい貸主さまもいれば、規約通りに「告知期間分の家賃をしっかり払ってもらわなければ困る」と律儀にルールを守ることを求める貸主さまもいます。この点は、大家さんの性格や管理会社のスタンスを見極めながら慎重に調整を測る必要があります。


スケジュール感:引き渡しの1ヶ月前には最終契約が必要な理由


不動産の入居審査や名義変更の手続きには、一般的にざっくり1ヶ月程度の時間がかかります。


そのため、全体のロードマップとしては、実際に経営権が移動する引き渡し日の「1ヶ月前」には、最終的な譲渡契約(SPA)を締結させておくイメージが理想的です。契約が確定した状態を作ってから、一斉に大家さんや管理会社へ名義変更の打診を開始しなければ、新年度や講習前の引き渡しに間に合わないというスケジュール的な破綻を招いてしまいます。


不動産のプロが間に入るからこそ防げるトラブル


賃貸借契約の更新手続きや名義変更を、一般の塾経営者さまだけで進めるのは非常に骨が折れます。相手は不動産のプロである管理会社であることが多いです。


セカチャレを運営する弊社は、M&Aの仲介はもちろんのこと、自社で宅地建物取引業(宅建業)の免許を保有しており、不動産仲介のプロフェッショナルでもあります。 以前は事務所用賃貸物件を専門として賃貸仲介サービスを提供していたこともあり、この点において多くの知見をもっていると自負しています。


不動産契約に関する知識や経験がなくても、私たちが大家さんや管理会社との間に立ち、専門用語の飛び交う交渉をスムーズにファシリテートします。これにより、理不尽な家賃値上げの要求を抑えたり、審査書類の不備によるタイムロスを未然に防いだりすることが可能になります。


不安を抱えるオーナーさまへ


「大家さんと長年良い関係を築いてきたから、変に刺激したくない」 「新しく借りる審査に落ちたらどうしよう」


売手さまも買手さまも、不動産の手続きには多大な不安が伴うものです。しかし、賃貸借契約の手続きばかりは、結局のところ「実際に大家さんに打診をしてみないとわからない」というのが本質です。考えて足が止まってしまうよりも、正しいステップを踏んでやってみることが何よりも大事です。


私たちがその不安に寄り添い、不動産の実務面からも完璧なバックアップを行います。大切な教室を次の世代へ綺麗に繋ぐために、まずは一度、お気軽にご相談ください。



この記事の著者



取締役 M&Aアドバイザー 高木直人


埼玉大学教育学部卒業後、大手教育系企業、私立中高一貫校講師を経て、株式会社インフィニティライフに参画。学習塾事業、学習塾M&A事業の責任者として、100件以上の学習塾案件を支援、40件程度を成約に導いた。2023年に株式会社バトンズが選ぶベストアドバイザー賞にノミネート。


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