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経営権の交代から「最初の30日」が勝負。やるべき現場の掌握と、すべきでないこと

2026年7月9日
学習塾M&A学習塾買収

こんにちは、セカチャレを運営する株式会社インフィニティライフの高木です。
学習塾をM&Aで譲渡した後、どのように事業が変化していくかは、案件それぞれで大きく変わってきます。


学習塾のM&Aにおいて、無事に譲渡契約(SPA)を締結し、経営権が移動した日は、売手さまにとってはゴールと言えるかもしれませんが、買手さまにとってはスタートラインです。特に、引き渡しを受けてからの最初の30日間の動き方は、その後の塾の運命を左右すると言っても過言ではありません。


意欲に満ち溢れた買手さまほど「早く塾を良くしたい」と意気込むものですが、現場の講師や生徒、保護者の方はまだ見ぬ新オーナーに対して少なからず不安を抱いています。今回は、引き継ぎ初月に買手さまが絶対に達成すべきゴールと、現場を混乱させないための実務の鉄則を解説します。


買手さまが初月に目指すべき「最大のゴール」


ズバリ、引き渡しからの1ヶ月間で、買手さまが何よりも最優先で取り組むべきゴールは、売上やシステムの変更ではなく「従業員、およびご家庭との徹底的な信頼関係の構築」であると感じます。


学習塾は、目に見えない教育サービスを提供する場所であり、その価値は人と人との信頼の上に成り立っています。新しいオーナーである買手さまご自身が「この人なら、これからも安心して子供を任せられる」「この経営者のもとなら、安心して働き続けられる」と周囲に心から思ってもらうこと、この一点に全エネルギーを注ぎ込んでください。


信頼関係を構築する「現場の掌握」と面談のステップ


周囲の不安を解消し、信頼感を最も早く生み出すためには、売手さまと連携した丁寧なファーストコンタクトが欠かせません。


従業員とは「個別の面談」を行う


まずは現場を支える講師一人一人(場合によっては教室長)と、可能であれば個別に面談の場を設けてください。彼らがこれまでどんな想いで生徒と向き合ってきたのかに耳を傾け、敬意を伝えることが、心理的な距離を縮める最善の手法の1つと考えられます。


生徒・保護者さまへは「売手さまからの推薦」を添える


生徒さまや保護者さまに対しても同様です。ここでのポイントは、買手さまが単独で挨拶に行くのではなく、売手さまと一緒に面談の場に立つことです。 そして売手さまの口から「この方は、私が心から信頼して、この塾の未来を任せられると思って選んだ人です」と直接伝えてもらいます。


長年親しんできた前オーナーからの力強い太鼓判ほど、ご家庭に安心感と信頼感を与えられるものはありません。


従業員・生徒の離脱に繋がるアクションは?


新オーナーさまが初月に最も犯しやすい失敗は、良かれと思って「急激な改革」を進めてしまうことです。


現状の一気な変化は最大のタブー


指導方法、カリキュラム、教材、そして授業料といった「現状の仕組み」を、初月から一気に変化させることは絶対に避けてください。


もちろん、引き継いだ塾に改善すべき点があるのは当然ですし、将来的な改革は必要です。しかし、引き継ぎ直後の最優先事項は「既存の生徒さまを一人も辞めさせずに残すこと」です。生徒さまや保護者さまに「体制が変わったけれど、今まで通りの環境が維持されている」と理解してもらうことこそが、初動の退塾リスクをゼロに抑える防波堤となります。


つい先日、セカチャレでご支援して30名規模の学習塾を引き継いでくださった方が、すでに2倍近い生徒を獲得して順調に運営を続けているとのご連絡をいただきました。
その成功の秘訣の1つに「今までのものは極力そのまま残し、少しずつオリジナリティを加えていったことだ」と仰っていました。そのように仰る方はとても多く、これは紛れも無い事実なのだと感じます。


売手さまが「残ってくれる期間」の正しい活用方法


学習塾M&Aでは、引き渡し後も一定期間、売手さまが現場に残って伴走してくれるケースがあります。それに限らず、譲渡契約から引き渡しまでの間に協力して引き継ぎを行うことはほとんどで、この貴重な並走期間は、買手さまにとって最大の武器になります。


「変化を感じさせない」ための環境づくり


生徒さまや保護者さまに動揺を与えないためには、売手さまに「できる限り今までと同じように行動してもらう」ことが重要です。いつも通り前オーナーが教室にいる風景を維持しながら、その陰で買手さまへの実務の引き継ぎを進めます。


売手さまが残ってくれている時間を、事務作業の習得のためだけに使うのではなく、「次の人は信頼できる」というメッセージを周囲に浸透させるためのブランディング期間として最大限に活用してください。


最初の30日をうまく乗り切った塾の共通点


引き継ぎ初月から現場に活気を与え、M&Aを大成功へと導いた買手さまの動きには、明確な共通点があります。


それは、内部の仕組みは「現状維持」をベースにして徹底的に守る一方で、パワーのすべてを「外部に向けた新規生徒の獲得(集客)」に注ぎ込んでいる点です。 既存のカリキュラムや講師の体制は変えずに現場の安心感を守りつつ、新しい経営者の視点で販促や募集活動に力を入れる。これにより、既存の生徒を離脱させることなく、新しい仲間を増やすという理想的なスタートダッシュを切ることができるようになります。


これから学習塾を買収してスタートしようと考える経営者さまへ


「本当に講師や生徒たちが自分についてきてくれるだろうか」 契約が近づくにつれ、買手さまの脳裏にはこうした不安がよぎるものです。また、送り出す側の売手さまも、残していく現場のことを心配されることがとても多いです。


しかし、数々の塾経営のバトンタッチを間近で支えてきた立場からお伝えすれば、なんだかんだ言っても、実際にやってみたら基本的にはうまくいくものです。ある程度の現状維持がされるようであれば、過剰に恐れる必要はまったくありません。


大切なのは、目の前の生徒さまと講師の安心を第一に考え、敬意を持って現場に入ること。正しいステップを踏んで誠実に向き合えば、意外とすんなり引き継ぎができると感じています。


「学習塾の買収に興味がある、しかしながらオリジナルブランドの学習塾は前オーナーさまの色が強いだろうから引き継ぎが心配…」という方、その心配はご無用です。是非、お気軽にお問い合わせください。



この記事の著者



取締役 M&Aアドバイザー 高木直人


埼玉大学教育学部卒業後、大手教育系企業、私立中高一貫校講師を経て、株式会社インフィニティライフに参画。学習塾事業、学習塾M&A事業の責任者として、100件以上の学習塾案件を支援、40件程度を成約に導いた。2023年に株式会社バトンズが選ぶベストアドバイザー賞にノミネート。


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